超高齢時代の理学療法
~地域包括ケアにおける理学療法の役割とエビデンス~
第22回千葉県理学療法士学会
学会長 小川明宏
現在、日本は総人口の1/4以上を高齢者が占める状態となり超高齢社会に突入しました。高齢社会の影響により、昨今では疾病や病態と共に高齢者の筋肉減少症(サルコペニア)や脆弱性(フレイル)などが問題視され、これらの問題に対する取組みは、健康増進や医療・介護経済的な側面からも重要と考えられます。特に国が掲げる命題として、高齢者が「住み慣れた地域で過ごしていく」ために、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年までには地域包括ケアシステムの構築が求められております。
このように理学療法士を取り巻く社会の動きは大きく変化しており、今後更に大きく変化していく可能性が考えられます。以前までの理学療法の対象は障害を有する方たちであり、予防的な介入はその対象ではありませんでした。しかしながら、ここ数年で「予防」という言葉が理学療法の領域でも使用されるようになり、これは非常に大きな変化の一つであると考えます。そして、高齢者等の健康寿命の延伸のために障害予防を行うことは、私たち理学療法士の新たな活躍の場を拡げる可能性があると考えられます。特に地域ごとで行われている予防事業等は、地域包括ケアシステムにおける重要な柱であり、これら予防事業等に理学療法士がどのように関わることができるかを検討し、模索することは重要なことであると考えます。
同時に、これらの予防事業等における理学療法的な効果や根拠(エビデンス)を十分検証していくことも重要と考えます。しかしながら、エビデンス構築のためには介入方法や期間、また評価指標などアウトカムの非統一性等、不足する点も多々あると考えられます。その為にも予防事業等のエビデンスの確立は,私たち理学療法士の将来に大きく関わることであるといっても過言ではありません。
本学会では基調講演やシンポジウムなど多くのプログラムを用意し、「地域包括ケアにおける理学療法の役割とエビデンス」について多くの県士会員の皆様と熱き討議を交わしたいと考えております。また、フレッシュマンからベテランの方までたくさんの演題登録をお待ちしております。
会員の皆様が有意義な1日を過ごせる学会にするため運営一同日夜準備に励んでおります。特に、本学会は地域での繋がりを強めるため印旛圏域の会員の方々に運営委員をお願いし、共に素晴らしい学会を創っていきたいと考えております。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
2016年6月吉日